• ミニ学校だより ~ 1/9 三学期始業式 校長の話「いま自分にできることを精一杯やること!」

    2024年1月9日

         「明けましておめでとうございます」と元気に挨拶をしたいわけですが、新年早々に起きた能登半島を中心とする北陸の大震災に際し、多く方々が被災しそして大切な命が失われました。今でも行方不明者の数が日を追うことに増え、懸命な救助活動が続けられています。この寒さの中、避難生活を送られている方々も多い状況です。もしかしたらみなさんの親族や知人などにも被災された方がいて心を痛めている人もいるかもしれませんね。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々、関係者の皆様にお見舞いを申し上げます。そして、少しでも早く被災された方々や地域の復旧・復興が進むよう、私たちもできることを考え、行動していきましょう。

    さて、そうした中、令和6年、2024年がスタートました。3学期の決意をみなさんの代表の3名が発表してくれました。1年 中村一実さんは学習の充実と新入生を迎える準備と心構えについて、2年 田畑海翔さんは、勉強、部活の充実と新委員長としての決意を、3年 石川奨也さんは、目前に迫った高校受検への決意と残りわずかとなった中学校生活を悔いなくしたいと堂々と発表しました。この3名のように具体的な決意と目標をもってこの3学期、そしてこの1年を歩んでいきましょう。(中略)

    さて、これは1月3日の信濃毎日新聞に掲載された記事です。新年が始まった2日間に悲惨な災害や事故がたて続けに起こってしまいました。先ほどふれた能登半島大震災とともに、日航機が海上保安庁の飛行機に滑走路上で衝突するという大きな事故がありました。現在原因は調査中ですが、その大惨事の中で日航機の乗客乗員379名の全員が命を落とさずに18分で脱出することができたことが「奇跡的な脱出」として報道されています。

    しかし、専門家たちは、これは「奇跡」だったのではなく、その時に客室乗務員たちがとった日頃の訓練の成果を生かした臨機応変で冷静な判断からの行動とその指示に協力的に従って動いた乗客たちの行動からの生まれた「必然」であったと述べています。事故直後、客室内に炎による熱と煙が広がる中で、客室乗務員たちはパニックになりそうな乗客を冷静にさせながら、8カ所ある非常口の状況を素早く確認して火の手が回っていない3か所だけを使うという判断をして機長に最終指示を仰ごうとしました。しかし、機内連絡システムが壊れていて機長と連絡が取れなかったため、乗務員自身の判断でドアを開け、脱出シューターを使って乗客を次々と機外に誘導したのです。

    実は、乗務員たちは毎年、乗客をどのような状況下でも「90秒以内」に避難させるという脱出訓練を行ってきたとのことです。そして、その訓練は、あらゆる状況を想定し、自ら考え、判断し、行動するという真剣で実践的なものであり、それが、今回の「奇跡的」だったと言われる脱出に繋がったのだと思います。まさに客室乗務員たちは、大惨事の中でも「自分のできる精一杯のこと」を行ったといえるでしょう。

    写真は変わって、これは、北陸地方の新聞で紹介された1月3日の被災地での一コマです。右側で炊き出しをしている方々は七尾市にある飲食店の人たちです。自分の店舗が地震で崩壊寸前になってしまったのですが、冷蔵庫に入っていた食材が無事だったことから、市内の鮮魚店の協力を得て被災した地域の方々に炊き出しを行ったそうです。店主の白藤さんは、「店は再開できないかもしれないが、苦しい時こそ助け合いたいです。」と、笑顔で250食の中華丼を振る舞ったそうです。

    また、能登町出身のイラストレーターである、なとみみわさんは、毎週北陸の地方新聞に四コマ漫画を連載されています。1月7日は「のとはやさしや」と題し、自身も被災しているにもかかわらず周りの人たちに優しさを与えている現地の人たちの様子を四コマ漫画で表現しました。なとみさん自身は石川市の被害の少ない地域にいたため被災することはなかったようですが、彼女は紙面の中で、「被災地に住む、友人や親せきは辛い思いをしているのに、自分は普段通りの生活がほぼ送れていることに対して、本当に申し訳ない。何もできない自分の無力さに腹が立ちます。自分にできることは何だろうと考えたとき、被災して大変な目に遭っている中でも辛抱強く、そして優しさを周りにふりまく能登の人たちを漫画で表していくことであり、今はとにかく自分のできることを頑張りたいと思います。」と語られました。

    ここまで、日航機の事故での乗客乗務員のとった対応のこと、被災地の七尾市で自分の店が被災したにもかかわらず笑顔で炊き出しを行っている白藤さんたちのこと、そして、四コマ漫画で被災地の方々の様子を伝えたイラストレーターのなとみさんについてお話しました。

    私はこの冬休みの後半、これらの災害や事故の報道を見聞きする度に、普通の正月を過ごしている自分、何もできない自分に対し、不甲斐なさや腹立たしさ、そして無力さを感じる日々でした。みなさんはどうでしたか?しかし、今回紹介した人たちのとった対応や行動を知ってからは、「今、自分にできることは、今ある場所で、今ある時間で、今ある立場で、今ある仲間と、いま自分にできる精一杯をしっかり行うことなのではないか!」考えるようになりました。

    この3学期は登校日数が48日と大変短いですが、みなさんが1年間過ごしてきた今年の学校生活のまとめをする大切な時期となります。特に3年生は中学生活3年間、そして義務教育9年間のまとめと締めくくりの年となります。充実した3学期、「いま自分にできる精一杯を」悔いなく行う3学期、そして一年にしましょう。

  • 令和5年度 学校だより「高遠の子」8号

    2023年12月24日

    本年度「学校だより」第8号を掲載しました。学校だより No8 12月22日

  • ミニ学校だより ~ 12/13 ふたご座流星群 天体観測会 大盛況!~

    2023年12月14日

    8年ぶりにふたご座流星群が観測できる絶好の機会だということ、そして3年生は今まさに授業で天体について学習しているということもあり、理科の花村先生から「ぜひ観測会をやりたい!」との申し出。そして、本観測会が急遽実施されました。本当なら12月15(金)未明が極大(ピーク)とのことでしたが天気予報は曇り。そこで、2日前の昨夜に行うことになりました。

    見事、予報は的中。夜6時を過ぎた頃には、本校校庭から見渡せる上空は満天の星々。約30人もの生徒や保護者、ご家族、そして先生方も集まり、観測会が始まりました。花村先生がセットした天体望遠鏡を覗くと、木星や土星の輪郭や縞模様などがはっきりと見え、感動の声。また、持参してきたレジャーシートに仰向けに寝転んでじっと流星を待つ姿。そして、みごと流星を発見すると「あっ、見えたよ。凄い!」「ななめ上にむかって流れた。」「見ることが出来てよかった!」などなど、口々に歓声がありました。中にはご家族で、小さなお子さんも連れてきて観測を楽しむ姿もあり、寒い中でしたが熱気のこもった観測会となりました。

    特に3年生は、授業での学びが日常生活につながっているということを実感できる大切な体験になったのではないでしょうか。また、懇談会も終わり、各自の進路に向かって進む時期となっています。そんな時に、ふと、こうして夜空を眺めてみることでいい気分転換になったのではないでしょうか。(私もまさにいい気分転換となりました)それにしても、ご参加いただきありがとうございました。今後も何かイベントがありましたらお知らせしますので、ぜひ、ご参加ください。

  • 校長のひとり言12/8 読書環境の充実~読解力をつけるベースとなるもの~

    2023年12月8日

    一昨日、OECDが2022年に実施した学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。調査対象者は世界の15歳69万人であった。その中で、「日本は読解力で3位となり過去最低の15位だった前回18年調査から回復した」と大きく報道された。文科省は「コロナ禍での休校期間が他国より短く学習機会を確保できたことも寄与した」と見解を述べたが、それだけだろうか?また、そんな順位の上下だけに一喜一憂するのでは大切な本質(子どもたちにどんな力を付けるのか、どんな子どもを育むのか)を見失ってしまう危惧を感じる。子どもたちが、本や資料、そして教科書を進んで「読んでみたい」と思える支援や環境づくりを、学校現場や地域で地道に取り組んでいることにもっと目を向けてほしいと願う。

    さて、本校では、図書館教育がその大きな力となっている。昨日は、朝読書の時間、5名の読み聞かせボランティアさんが各教室に入り15分間の読み聞かせをしてくださった。絵本の内容は様々で、創作、民話、詩、学校、戦争など、各ボランティアさんが聞き手である生徒たちへの思いをもって選書されたものであった。中にはエピソードを交えて生徒たちに熱く自分の考えを語るボランティアさんもいらっしゃった。生徒たちの真剣に聞く姿が印象的だった。

    また、週3日あるふだんの朝読書の時間では、必ず1クラスは図書館に行きその時間を過ごしている。そして、時間の最後には司書の伊藤あや先生からの本の紹介タイムがある。今日は、現在行っている図書委員会と給食センターとのコラボ企画である「本からとび出たごちそう」で、本日の給食献立となっている「肉うどん、たこあげ」が登場する作品『万葉恋ばな』(みずのまい著 学研プラス)を1年1組の生徒に紹介していた。

    さらに、図書館前や廊下の一角は、そうした企画の展示や紹介コーナーで彩られている。生徒たちが自然とそれらのディスプレイの前で笑顔で会話をしている姿をよく見かける。人が望ましい行動をとれるようそっと後押しするアプローチのことを行動経済学ではナッジ(nudge)というそうだ。nudgeは英語で「ひじで小突く」「そっと押して動かす」の意味である。本校での図書館をはじめとするこうした取組は、おそらく生徒の本を主体的に読もうとする行動をそっと後押し(ナッジ)してくれているはずである。そして、こうした地道な取組こそ真の「読解力」を高めていくことにつながるはずである。

  • 令和5年度 学校だより「高遠の子」7号

    2023年12月4日

    本年度「学校だより」第7号を掲載しました。 学校だより No7 12月4日