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2日間の1年宿泊体験学習の引率を終えて学校に戻ってきた先生方。校長室で短時間、報告会を兼ねた反省会が行われた。7名の先生方が一人ひとり生徒たちの様子を次々に語っていく。「キャンプファイアーであれだけみんなで盛り上がれる生徒たちは凄いと思った」「教師が指示をそれほど出さなくても自分たちで栞を見たり声を掛け合ってどんどん動いていて凄いなと思った」「自分のことだけでなくまわりのこともよく見て、考えて行動している生徒が多かった」「野外炊飯では手際がよすぎて予定よりだいぶ早く夕食が出来上がってしまった(よい意味で)」「あれだけやれる生徒たちだから、指導員の方にはもっと手を出さずに見守ってもらえるようにお願いしておけばよかった」「〇〇くんは他の子もうまく巻き込んで活動をすすめていた」「学校ではあまり気づかなかった◎◎さんのよさを知ることができた」「これからは教師が与えすぎずにもっともっと生徒たちに考えさせたり企画させたりしていってもいい」等々。
先生方は疲れているにもかかわらず、2日間で見えた、そして気づいた、生徒たちの姿を伝え合った。最後に、「この生徒たちの凄い力をさらにどのように伸ばしていくか、育てていくか、あらためて生徒たちから宿題をもらいました。この生徒たちとともに私たちも成長していきましょう」と学年主任が締めくくった。行事を通して学ぶことは大きい。生徒も先生たちも!
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校長室の周辺がいつもと違った。隣の事務室を覗くと2年生のAさんが緊張した面持ちで電話機を握っていた。その姿を窓口外から温かな眼差しで見守る担任。廊下には、2年生の男女数名が同じく緊張した面持ちで立っていた。電話をかけるAさんの声からすぐにその緊張の理由がわかった。「この度職場体験をさせていただく高遠中2年のAと申します。事前打ち合わせをさせていただきたくお電話させていただきました。担当の方はいらっしゃるでしょうか・・・。ありがとうございます。よろしくお願いします。」電話後のAさんの安堵の表情と笑顔。「どうでしたか?」と尋ねてみると、「緊張しましたが、担当の方が優しくお話してくださったのでよかったです」と、丁寧な言葉で、何か大きな壁をひとつ乗り越えた表情で答えてくれた。
来月予定の職場体験に向け、事前学習に励む2年生。最近は、受験や就職のエントリーやアポイントメントも該当のホームページに必要事項を入力してメールでやりとりするのが一般的になっている。だからこそ、こうして電話や対面で実際に相手と肉声でやりとり(対話)することで得られることははるかに大きいと思う。そのことを今日の2年生の姿から強く感じた。キャリア教育はまさに活きる学力を身に付ける絶好の機会である。 -
本校は土砂災害警戒区域に立地しています。今回の訓練の目的は、土砂災害が発生する前に適切な避難行動がとれるように❶基本的な防災知識を学ぶこと、❷実際に1次避難場所に避難してみること、でした。まず始めに、各教室にWeb配信された映像資料と動画により、土砂災害への備えや避難上の留意点などを係主任の岩田先生の解説のもとに学習しました。その後、「校舎西側の藤沢川沿いの土砂災害特別警戒区域に指定されている急斜面が崩落し始めた」という状況設定のもと、教頭先生の校内放送の合図で、災害警戒区域外にあたる若宮駐車場へ実際に避難しました。生徒たちも職員も、真剣な表情で整然と避難する姿がありました。
最後に私からは「みること」の段階として「見る⇒視る・観る・診る⇒診る」について話したあと、「日ごろ見慣れている通学路を、今日はしっかりみて帰ること」と「そこで気づいたことや考えたことを生活記録に書いてきてほしいこと」をお願いしました。すると翌日、担任の先生方からたくさんの生徒の言葉(生活記録に書かれた内容)が届きました!いくつか紹介すると・・・
☆(前略)確かにみないと変化に気づけないので、日々のみるって大切なんだなと思いました。小学校の時は毎日橋を渡って登校していたのですが、雨が降って水位が上がっていることは何気なく思っていました。ですが、これは普段を見ていたから水位が上がっているのに気づいたということなので、中学の登校や下校も意識しようかなと思います。(3年Kさん)
☆「見、観、視、診、看」の五つの漢字。普段は目に入ってくるものが見えるだけで意識して何かを見ることはほとんどないように感じます。今日の帰りに少し周りを観察しました。よくみてみると、木が生えていないところなど、危なそうな箇所がいくつかありました。普段の生活では気づかないところをこういった観察してよくみることは大切だなと思いました。ただ観察してみてもそれは表面のことで本当にそうなのか分からないから、自分たちの住む地形や気候、以前この地域にどんなことが起きたのか、それによってどんな被害があったのかを詳しく調べたりすることも大切かなと感じました。(2年Iさん)
☆(前略)本当にあった時のためにしっかり真剣に取り組めました。バス停から自分の家までのところで危険なところはほぼ全部でした。那木沢は坂で囲まれているので避難は逆に危ないかなと思いました。またしっかりと確認しておきたいです。(1年Aさん)なんて凄い生徒たちでしょうか!私たち教師が投げかけたことに応えてくれる生徒たち。だからこそ、私たちはそんな生徒たちにさらに応えていかなくてはいけないと強く思いました。
ぜひ、ご家庭でも防災について話し合ってみてください。響く生徒たちです!
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中部教職員総会と同学年会・同教科会が、生徒の下校を早め15時から行われた。特に本校は、小規模校であるため、同教科の先生が多くても2人、そして多くの教科は1人だけである。だから、教師は1人で3学年全学級の授業をもち、全ての定期テスト等を作成し、そして通知表を書くなど孤軍奮闘している。もちろん、メリットもある。より多くの生徒たちを知ることができたり、授業進度も教師の裁量度が高くなるために、内容や展開を創意工夫したりできる。しかし、場合によってはひとりよがりの授業になりがちになったり、同じ教科の教師間の刺激が少なくなることから、教師同士が切磋琢磨し合い互いの専門性を高めていくことができにくくなったりなどの課題もある。だから、本校と同様の小規模校である長谷中の先生方とともに、このような機会に膝を交えてじっくりと教科指導について情報交換したり教材研究をともにしたりすることの意義は大きい。
実際に、いくつかの教科会の様子を見させていただいた。ある教科会では、教科書を開き合い「この単元の指導では・・・のように進めてみたけど・・・」と好事例やうまくいかなかった事例を出し合いながら改善策やアイデアを考え合う姿や、「これって、もしかしたら教材が前のものかもしれませんよ。確認してみましょうよ。」などと、少しショッキングな、しかし、他の視点が入らないと気づけなかったことなどを熱く語り合っていた。まさに、「井の中の蛙」から抜け出せるチャンスがこの同教科会・同学年会だと感じ、そして、何よりも「先生方は、子供たちのためによりよくなろうとしている」ことをうれしく思った。このような先生方が研修し合う時間は、子どもたちと触れ合う時間とともに、しっかりと確保していかなければならない。また、明日から、子どもたちの笑顔のために、子どもたちの前に自信をもって立つために。
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南信地区初任者研修授業力向上研修Ⅰの会場校として、本校の理科の授業を上伊那の初任(中学校と特別支援学校)の先生方に参観していただきました。授業学級は3年2組。教科は理科。授業者は教員として6年目、まさに初任者にとっては兄貴分の花村純平先生でした。単元は「化学変化とイオン」 の第2章「酸,アルカリとイオン」。
授業の最初に、前時までに学習した酸性の水溶液に共通する性質を全体で復習した後、「その性質のもとなっているものの正体は何だろうか?」との問いに、「もしかしたらそれはイオンかも?」との予想を立て、「もしイオンだったらどちらかの電極に引き寄せられるはず」の仮説のもと、生徒たちは実験を通してその正体を探っていきました。
実験を始める前に、教卓の前に集まった生徒たちの目は輝き、実験器具を操る花村先生の一挙手一動を真剣に見つめる姿がありました。そして、いよいよグループになって実験開始。電圧計の両極に挟んだ青色リトマス紙に水溶液を慎重に垂らす姿、すると、朱色に染まりながらじわじわと水溶液が陰極側に広がっていく様子を観察しながら、「あっ、マイナス側に引き付けられていくからプラスのイオンじゃない!?」「でも、ちょっと広がり方が中途半端だ・・・。」「もう一回やってみたいな。」など、グループで友達と気づきや考えを率直に伝えあったり、様子を見にまわってきた花村先生に気軽に質問したりしながら、対話を通して学びを深めていくいく姿が見られました。
さらに、感心したのは、その後に行われた初任者による授業研究会。花村先生に積極的に質問する姿、そして、意見交換では、「私が見ていたAさんは〇〇とつぶやいていました。そこから先生の△△な支援が有効だったと思います。」「最初は目を輝かせて生徒たちが少しずつ静かになっていった気がしました。それは□□が原因だったかもしれません。私だったら実験の場面を始めに行ってみて、生徒たちからなぜだろうという疑問をもっと出させてから、自分たちで実験を考えさせてみたいです。」等々、具体的な授業中の生徒の姿を取り上げ、教師の発した言葉や講じた策などと絡め、そして、もし自分が授業を行うとしたら~してみたいという代案を出し合いながら、主体的に、そして意欲的に研究会に参加する初任の先生方の姿がたくさん見られました。
最後に助言者である総合教育センターの中嶋専門主事から、教師や生徒のよさとして、花村先生が授業前に何度も予備実験を繰り返して本時を検討してきたこと、個に応じた言葉がけや支援を随時行っていたこと、そして、生徒が友達同士で支え合いながら落ち着いて学習に取り組んでいたことやiPadをどんどん使いこなしていたことなどを挙げ、改めて、日ごろからの学級づくりや生徒理解、教材研究や教科の専門性を高めるための自己研修などの大切さをお話いただきました。
現行の学習指導要領で求められる「主体的、対話的で深い学び」の実現に向け、このように実際の授業を通して先生方が具体的な生徒の姿を真ん中に置き、対話を通して互いの授業観や教材観、子ども観、さらには教育観を見つめ直したり、更新したりしていくことこそ、私たち教師の研修として一番大事だと感じています。コロナ禍でこうした研究の機会も限られていましたが、ようやくまた可能になってきたことをうれしく思うとともに、このような先生方の研修の場や環境を校長としてさらに大事にしていかなければと強く思いました。
それにしても、初任の先生方、本当に期待できます!そして、今日は何よりも、花村先生、3年2組の生徒たちがまた一つ大きく成長する機会になったことをうれしく思います。