学校教育目標 「学則得」

高遠における教育は、阪本天山がその基礎を作り、多くの人材を輩出した高遠藩校進徳館の学風である知行合一・思想即行実の学問、「実学」を旨とした「高遠の学」と称される学風を継承・発展することを旨としている。「高遠の学」の特色は、実際に役に立つ学問、実際にものの用に立つ人材を育成する学問である。「高遠の学」は、時代を先取りしてしかも時流に流されず、それがために受ける迫害にも屈しない反骨精神をもつ。また進んで新しい海外の文化に学ぶ国際的視野への広がりをも兼ね備えている。塾生であった伊澤修二はこれを『学則得』と表し、「学と得は一体であり、知と行は表裏、学は徳である。学んで知りえないことはないという徹底追求の姿勢である。」と実学尊重の教えを示している。『学則得』は、学んだことが単に知識にとどまることなく、実践・行動を重ねて自らの体を通して具現されることをねらい、それが「高遠の学」「実学」として人間らしく生きる人格の完成につながる。また伊澤は「知育、徳育、体育の調和を求め、情操のいよいよ高く深く人間存在を求める。いよいよ高きもの、いよいよ遠きものを仰望する実践の姿」(『仰之愈高望之愈遠』)とし、自立・自律した人間の育成を目指すことを教えている。「仰望」は高遠に生まれ育つ生徒の、まさに目指すべき姿であり、生涯にわたって求め続ける心の拠り所としたい。こうした高遠の歴史と伝統を受け継ぐ『学則得』『仰之愈高望之愈遠』を本校の校訓とし、知識・技能の確実な習得と、社会の変化に対応できる思考力等の能力の育成を図り、個性を生かす教育の充実に努めることを通して、社会の願いに応えることとする。なお、『学則得』は、昭和56年度から本校の学校教育目標に位置づけている。(「学校運営計画」より)

教育理念 「素心」

本校は、進徳館の学風を受け継ぐ教育熱心な地域の学校として、昭和22年、学制に伴い設置された高遠中学校、長藤中学校、三義中学校、河南中学校、藤沢中学校の5校の創立を基礎として変遷をたどり、昭和34年統合中学校開校を初年度とする地域に根差した学校である。本校の教育は、一言で言えば「実学」である。これは、「生きる力」を育む教育であり、学習指導要領で求める能力を育成する教育と一致する。

教育活動を推進する上で最も重視すべき事は社会生活を営む人としての基本的理念を明確にすることである。田山花袋は「ゆきあふ子等のうつくしき町」と表現し、北原星雲先生は「飾り気のない純真な心 そこに若者の美しい姿が育っていく 純真な心としての『素心』 生きていく心の中心としていきたい」と高遠の子を表している。そこで本校の教育理念を『素心』とし、めざす学校像を「個性を生かす教育の充実に努め、生徒が主体的に学ぶことを通して、自他敬愛の情と、地域や社会の変化に対応する力を育み、社会の願いに応える学校」とし、変化の激しい社会を生きるために必要な「生きる力」や、これまでも本校で重視してきた知・徳・体の育成を目指していく。そのためには、学校が安全で成就感や学ぶ楽しさを実感し、自他のよさや可能性を発揮する豊かな学びを展開していく必要がある。(「学校運営計画」より)

令和4年度学校要覧

HP学校要覧R4